令和7年度 診療所向け「賃上げ・物価上昇支援金」の概要とポイント
昨今の物価高騰や人件費の上昇は、診療所経営において大きな課題となっています。こうした状況を受け、厚生労働省は令和7年度(2025年度)において、医療従事者の処遇改善と経営継続を目的とした支援事業がスタートします。
今回の記事では、診療所(医科・歯科)の皆様が知っておくべき「賃上げ支援」と「物価上昇支援」の2つの給付金について、その対象や支給額、申請する時の注意点を分かりやすく解説します。
1.診療所等物価上昇対策支援金
令和6年度の診療報酬改定以降も続く物価高騰に対応し、地域医療の提供体制を確保するための支援金です。光熱水費や医療材料費などの物件費上昇分を補うことを目的としています。
対象医療機関と支給額
| 14床以上の有床診療所 | 使用許可病床数×1.3万円 |
|---|---|
| 13床以下の有床診療所 | 1施設×17万円 |
| 無床診療所 (医科・歯科) | 1施設×17万円 |
主な支給要件
・令和7年度以降に診療報酬請求を行っていること
申請期限
・令和8年3月2日 (都道府県によって異なる可能性があります)

今後も事業を継続されるクリニック様は対象です。申請を忘れずに!!
2.診療所等賃上げ支援金
この事業は、医療従事者の確実な賃上げを実現するために、賃上げに必要な経費を給付金として支給するものです。
対象医療機関と支給上限額
| 3床以上の有床診療所 | 使用許可病床数×7.2万円 |
|---|---|
| 2床以下の有床診療所 | 1施設×15万円 |
| 無床診療所 (医科・歯科) | 1施設×15万円 |
| 訪問看護ステーション | 1施設×22.8万円 |
支給要件
令和8年3月1日時点で「ベースアップ評価料」を届け出ている有床・無床診療所
令和7年12月~令和8年5月の間ベースアップを行うこと
薬局は令和8年6月1日時点で令和8年度診療報酬改定による見直し後のベースアップ評価料を届け出ることを誓約する施設
院長(医師・歯科医師)と事務職員のみの体制など、現行制度でベースアップ評価料を届け出られない施設の場合、令和8年6月1日時点で(改定後の)ベースアップ評価料を届け出ることを誓約することが条件となります
申請期間
令和8年6月~(予定)
賃上げ支援金FAQ
- 「令和7年12月」から「令和8年5月」までの賃金改善が必要ですが、既に過ぎてしまった月分(12月分など)の賃上げは、具体的にどう職員へ支払えばよいですか?
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「一時金」や「特別手当」として、まとめて一括支給する方法が認められています。 具体的には、令和8年3月末までに、12月分から3月分までの「4か月分」をまとめて支払うことができます。ただし、4月・5月分については一括支給はできず、毎月の給与(ベースアップ)として支払う必要があります。どのような方法で実施する場合でも、遅くとも令和8年3月末までには賃金改善に着手(支給)していなければなりません。
- 補助金を受け取ってから、そのお金を職員に分配すればよいのでしょうか?
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いいえ、順番が逆になります。「先に医療機関が自腹で賃上げを行い、後からその経費を補助金として請求する」という仕組みです。 令和8年6月〜7月頃に、実際に令和7年12月〜令和8年5月までの賃金改善を行った「実績報告」と「補助金の申請」を同時に提出します。そのため、まずは自院で賃上げを実施し、その証拠(給与明細の記録など)をしっかり残しておくことが不可欠です。また、令和8年6月の改定後も、その賃上げ水準を維持または拡大させることが求められます。
- なぜ「令和7年12月分」から「令和8年5月分」までを遡って賃金改善する必要があるのですか?
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本事業は、令和7年度の医療従事者の処遇改善を目的としており、支給された給付金の全額を「賃金改善(賃上げ)」に充てることが支給の絶対条件となっているためです。
参考
いかがだったでしょうか?
「手続きが複雑そう」「自院には関係ない」と見送ってしまうのは、非常に勿体ないことです。
先行して賃上げを行う際のコストを補助金で補填できるこのタイミングは、ベースアップ評価料を導入する絶好の機会と言えます。
まずは、自院が「令和8年3月までの届出」が可能か、あるいは「令和8年6月以降の届出の誓約」が必要なケースかを、各都道府県から今後郵送される案内文書などで早めに確認することをお勧めします。
ご不明点がある場合は、お問い合わせ欄から気軽にご相談ください♪


